さようなら、友よ。
さようなら、街よ。
さようなら、今までの自分よ。
別れはさみしい。
別れはひとつのおしまい。
応援や励まし、皮肉や文句。
かける言葉は一方的だけど、
一瞬だけの感情で済むから楽。
楽だけどなんだかつらい。
新しい街に行く。
今までの街より古めかしいけれども、
生きている人はいる。
だからきっと生きられる。
不安で不安でしかたないけれど、
馴れたらきっと安心するんだろう。
自分を知らないひとがいる。
ここを知らない自分がいる。
無防備な自分を出したくないと思って、
無表情な自分を鏡に映した。
これからいろんな人と出会うのだろう。
いろんな表情を覚えるのだろう。
当然なことなんだけれど、なんだか怖い。
今まで隠していたところを見せなければいけない時も、これからあるかもしれない。
それが、怖い。
触れられたくない想い。
触れられたくない過去。
真心でぶつかってこられたら、
どんな顔で晒せばいいのだろう。
その時、鬱積したものが粉々になるのなら、 触れられたくないところも簡単に捨てられるかもしれない。
新しい環境に馴れていく。
自分の嫌だったところも、
人知れず捨てていく。
巨大な妄想に恐れていたものが、 馴染んだ自分に溶けてだんだん温かくなった。
自分を知っている人がいる。
自分が安らぐ場所がある。
ふりかえるとそこに自分はいない。
不安で怖がっている自分はいない。
常に一日が薄味で終わっていく。
新しい自分が心で想う。
これが自分の「日常」なのだと。