ゴールデンウィークはいつも仕事だった。
渋滞のニュースに軽蔑の視線をぶつけながら、 スカスカの通勤電車に乗って職場に行く。
「俺達ホワイト」から追加依頼をうけたのは連休前。 連休明けに資料提出してほしいと駄々をこねるホワイト氏は、 世間のゴールデンウイークをみっつほど余分にとって、 キャリフォルニアやらフィラデルフィアに行くそうだ。
毎年、毎年、口裏合わせたかのようにいろんな「俺達ホワイト」が、 いろんな方面から「我々ブラック」に依頼が来て、 私のゴールデンウイークとは「スカスカの通勤電車」だけが唯一の「オイシイ」ことなのだ。
いつもこの時期になると、頭の中に浮かぶ唄がある。
それはB'zの「Brotherhood」。
以前は先輩と、今では部下と、連休を少しでも休めるように最善を尽くそうと仕事をする。
そんな仕事断ってしまえば良いのだが、 客先のつながりとは妙なところで切れるし、 切れることに恐れおののいているのがブラック企業でもある。
まぁ、それが嫌で嫌で私なんかは「独立、起業」を画策するのだが、 たとえ独立したってそういう仕事を受けなければならない時もあるものだ。
だから少しでも休めるように、短期集中、一点突破で目標をやりとげる。 とにかくやりとげようとするのだ。
こういうとき、孤独な作業というのは残酷だ。 一点突破の勇気だって、強大なタスクの前にあきらめがどうしても頭をよぎるからだ。 ベソをかき、ブッ倒れたりヤケになったってなんにもならない。 頼るべき味方がいないと叫ぶ、世間はゴールデンウイークなんだ。
しかし、仲間がいれば違う。
休日出勤という怒りの源は、仲間の団結を確認するには良い機会なのかもしれない。
そういうときばかりは目標に向けてちからをひとつにし、 目標達成の暁には、「ようやく休める」とビルメンテナンスの人にこぼして、 会社をあとにするのだ。
みんな生まれも育ちも違ってるし、 ベッタリくっつくのも好きじゃ無い、 いざというとき手をさしのべられるかどうかなんだ。 だからなんとかここまでやってこれたんだ。
「仲間」を感じながらわずかな休日をかすめ取る。
帰り道「いざ」手をさしのべてとるのはだいたい「ビール」。
「だからなんとかここまでやってこれたんだ」の後は妙にビールが美味いものだ。
いつも、このタイミングで
妻には「すまん」という。
今日もまた、最悪なニュースと良いニュースが交差するが、 この時期はいつも「交通系」の最悪なニュースが多い。
休みだという皆様も、
仕事だというブラザーも、
気を付けようがないが充分に気を付けて、
ゴールデンウイークを乗り切っていこう。
ゴールデンウイークは始まってるし、過ぎてゆく。 世間には働いている人がまだまだいるけれども、 ちょっとだけでも休めるのならば存分に甘えよう。
ためらうことなど何もないよ、今さら。
written by 日照ノ秋人 生きていくだけだよ。