ふにゃふにゃフィロソフィー

真の父親とは、男とは何かを考えるブログです。

プロポーズなど無くても

どんな言葉で君に伝えればいい
吐き出す声はいつも途中で途切れた

「黄金の月」

これをスガシカオが歌ってくれたら、
プロポーズしよう。

歌ってくれなかったら・・・。  
 


 

共通して好きなものは
スガシカオ」だった。

なんとかライブチケットを手配して
ふたりで観に行く約束をした。

休みの曜日が合わないふたりは、
スガシカオ」を口実に有給休暇をとって、 ライブまでの時間をつぶした。

ひとりでは絶対に行かない小洒落たカフェ。
ひとりでは絶対に飲まないカプチーノ
上くちびるにつく泡。
それになんだかイライラしたけれど。

結婚を意識したのはいつ頃だろう。

いつもぼんやり生きてきた私は、
ひょっとしたら大きな出来事なんだろうな
程度にしか「結婚」というものを扱っていなかった。

結婚に関して女性にとっては、男が思う以上に とても大きな事だと考えているのに。

男に人生を預けるのだから、当然重い。

男としてはその重さに、 不安とか、自信の無いところから来る恐怖とかを 心いっぱいに抱えてしまう。

果たして自分に、ひとの人生を預かることは出来るだろうか。

その「迷い」があるから、いつも踏み切れないでいる。
それほどに愛する相手のことを考えているといってもいい。

煮え切らない態度。
下せない「決断」。

男とはだいたいそんなものだと思う。
 


 

それぞれの人生を歩んできたふたりは、 どれほど相手を理解していても「わかりあえる」ということはない。 いつまでも「わかりあえる」と勘違いしているだけだ。

すでにふたりは「わかりあえいる」と言えたなら、 プロポーズに勇気など必要無い。

果たして受けてくれるのか。

そんな不安も「わかりあえる」と勘違いしているひとにだって、 きっと存在する。

迷い、悩み、考えた先に
プロポーズという決断がある。
「はい」か「いいえ」か。

残酷な結末を想い描く男などいない。

プロポーズを受ける側も
決断を迫られる。
「はい」か「いいえ」か。

しかし「いいえ」よりも、もっとズルくて残酷な幕引きがある。

保留。

語呂の良いこの漢字二文字は、
男の「決断」を粉々にする。

どうせならこちらが決断する前に、
「いいえ」の意思を伝えて欲しい。

浅い愛ほど罪深いものはない。

深い愛と思っていた時ほど、
それは耐えがたい。

男は迷う。

迷うからこそ踏みきれない一歩は、
自分にとって都合の良い言い訳を探し、
なにかしらのきっかけを待ってしまうから躊躇する。

いくら彼女が待ち望んでいたって、
「決断」を先送りにしてしまう。

きっかけが、欲しい。
 
 


 
 
「決断」したはずなのに、踏み出せない。

それっぽい場所に誘い出して、
それっぽい格好をしていれば、
相手は察するんじゃないか。

なあんて先輩諸君から聞いたって、
作為的なものは時間をもてあそぶだけのような気がして 気が進まなかった。

難癖つけて、
結局「先延ばし」にするばかり。

だからこそスガシカオに賭けた。

そのライブは、過去の曲も客席のリクエストで歌うと既に発表されており、
そのリストの中に「黄金の月」があった。

「黄金の月」を歌ったら・・・。

複雑で淡い期待をひとり膨らませて、
きっかけを待った。
ひたすら、待った。
 

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帰り道、車の中。

彼女は仕事や私生活で悩みを抱えていた。

日に日に憔悴していく彼女もまた、
きっかけを待っていたに違いない。

だから、プロポーズをした。

「黄金の月」は歌われなかったし、 夜空に浮かぶ、黄金の月などなかったけれど。

プロポーズの言葉の先頭に
「じゃあ」が付いていた。

汚点。

「迷い」はあった。
そのなかで「決断」があった。
だから言葉を失敗した。

もう、14年も前の話。
妻はいまだに「じゃあ」を面白がっている。

私にきっかけは無かった。

何を言っても言い訳だが、 今なにか出来ることはないだろうかと問う。

「じゃあ、なにか気の利いたものでも買ってちょうだい。」

「じゃあ」って、言うな。

written by 日照ノ秋人
どんな形でもプロポーズはサプライズとなる、
・・・なるよね?

#「迷い」と「決断」

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