ふにゃふにゃフィロソフィー

真の父親とは、男とは何かを考えるブログです。

子供嫌いな私が手のひらどころか体ごとひっくり返った話

自分は家庭というものがわからないから、 家庭を持つのが怖いから、 結婚できない。

自分は子供が大嫌いだから、 子育てする自分が想像できないから、 子供はいらない。

そんな現代人が増えているそうな。

人ってば心配事や不安があると、 とりあえずそのままにして先送りにすることを良しとしちゃうよね。

今や、子育てとか子供のことを考えることが生きがいとか、 使命とか行っちゃってる私だって、 ちょっと前まではそうだったんだよね。

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今思うと、一体どこでスイッチが入ったか全くわからないけれども、 男である私は己の「クラスチェンジ理論」によれば、 いつまで経っても「ただの男」のはずなのに、 エラソーに「父親」なあんて言ってしまっている。

昔から子供が大嫌いで、自分も子供のくせに子供が大嫌いで、 憎ったらしくて、頭が悪くて、 かわいくもなんともない妖怪みたいなものだと思っていた。

よくある話。

子供が出来ればベッタリだという話は聞いていたが、 自分がそんな「ベッタリ」になる姿を全く想像できずにいた。 自分に限り「そんな親」になる可能性は、 これっぽっちも無いだろうとさえ思っていた。

我が子が生まれた瞬間も、 そりゃあそれなりにうれしかったけれど 「奥さんが無事でよかった」と、 まず先に思ってしまったことは我が子には決して言えない。

奥さんは子供が生まれた瞬間に
バチッ! と音がして「母親」にクラスチェンジしたが、 私はカメラを持ち、新しいおもちゃを与えられたような気分で 「自分も子供みたいなのに、授かってよいのだろうか」 という心配や不安を、ただ抱えていた。

諸手を挙げて万歳なんかしちゃう男の気持ちや、 くしゃくしゃに泣いてしまう男の気持ちは 「自分が冷血だから」という理由をつけて、 全く理解出来ないものと片付けた。

今となって思えば、ただ無邪気な、 無垢なる子供が怖かっただけなのかもしれない。


生まれたばかりの頃の、 あんなシワくちゃな猿みたいな顔。

かわいいだなんて思えるのかなぁと思っていた私は、 抱き方も知らずぎこちない手つきで我が子を抱えた瞬間も、
「奥さんありがとう、お疲れさま。」
と思っていたが、数値的にそんなに重くは無いはずの我が子は、 思ったよりずっと重かった。

なんだかそれが、
父親へのスイッチだったかもしれない。

命の重みは測れない。
だから親として我が子の重みと存在を証明しなくてはならない。

子供に意思はないけれども私に預けた全体重は、 ひとりのデカい子供を「父親」にさせた。

勝手におとなが親になるんじゃない、
子供が親にさせるんだ。

理屈で考えると安っぽいけれど、 そもそも父親がこんな程度の男なのだからいいと思う。


私は地味で、
どちらかと言えばクールで、
プライドも高く見栄っ張りでド助平なそんじょそこらにいるただの男であるが、 子供にとってそんなつまらないおとなは論外なのだ。

スルーをしているわけじゃない。
そもそも眼中に無い。
父親として、我が子の「眼中に無い」は相当痛い。

子供にとって興味の対象は、
コミカルで、
動きが大きく、
声も大きく、
端から見ると変なひとである。

しかし、我が子の為にソレをやらねば。

そう思った私は、そんな考え方が正しいかどうかわからないけれども、 以来めんどくさいおじさんなんである。

ヤダ!こんなんじゃモテないじゃない!

なあんて思ってはいけない。
私はもう父親なのだ。

全世界の女子諸君に嫌われたっていい。
我が子にウケればよいのだ。

そんな風に、コミカルなことをやってると、 我が子のみならず知らない子供も寄ってくる。
みんなが笑顔。
子供が笑えば親も笑う。

ああ、そういうことかもしれないな。

ひとり心の片隅でそう思った私。

ヒーローというのは、かっこ悪くたってなれるのだ。 ひとりのためが、みんなのためになる。

いつの間にか幼稚園で「ハーメルンの笛吹き男」みたいに集まった子供を引き連れていた変なおじさんは、コミカルが行き過ぎて奥方に薄冷たい視線を喰らいながらも、 今では我が子に限らず、よその子だって分け隔て無くかわいいと思えるようになった。

ときどきイヤになるけれど、 まだまだ子供は親を嫌いにならない。

次第に大きくなっていく子供。
そりゃあ親のことも嫌いになる日がくるだろう。

「そういえば昔変なおじさんがいたね」

なあんて思い出してもらえた暁には、
「全世界の女子に嫌われたぁ~!」って
ようやく泣ける。

written by 日照ノ秋人 まだ、泣きたくない。


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