ふにゃふにゃフィロソフィー

真の父親とは、男とは何かを考えるブログです。

他でやれ

とある世界の昔話。

その世界では得体も知れぬ魔王の手に渡りつつあった。

人間達を治める王は魔王討伐の勇者を求め、 募集を全世界に募った。 ひとり、またひとりと志願者が現れ、 そのたびに行方知れずになった。

この世界には勇者はおらぬのか…。

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王のいる城には人間にも魔王にも知られていない 「ピカリンの玉」という不思議な宝玉があった。 いつか、誰かが冒険の途中でその宝玉の必要性に気づいた時、 その者を真の勇者と認め託そうと思っていた。 「ピカリンの玉」は魔王討伐のキーアイテムである事を王は知っているのだ。

今日も城には志願者が現れた。

毎度の様に支度金を渡すと、
その志願者はこう言った。

「王様、魔王討伐にこの程度の支度金とはどういうことか。 これではこんぼう1本とやくそうしか買えないではないか。」

なんだコイツは、なんてふてぶてしいやつなのだろうか。 この国では数々の勇者支援を行っているが、 成果がまったく見えない為、近年では支度金も減少傾向にある。 大金を渡したところで、結局は行方知れずなのだ。 しかしこの志願者は違った。

「はるか東、とある村に稲妻の剣というものが売っている。 1,000,000ゴールドだ。私は魔法で飛んで行ってそれを手に入れたい。 魔王討伐にはこの剣が必要なのだ。」

なんという具体的な金の使用目的だろうか。 王はこの志願者に賭けた。 こやつなら平和をもたらしてくれるだろう。 最近では200ゴールドの支度金で済ませていたが、 1,000,000ゴールドを与えた。

その後の音沙汰は無い。

大金を躊躇なく与えたことにより、 その後の国の財は揺らいだ。 そして数々の金策も尽きて、 この国は破綻してしまったとさ。

おしまい。

と、思いきや続く

いやぁ、責任取れとか言われちゃってさ、 国民に石とか投げられたのよ。

その王様、ボカーンってくらってさ。 でも全然痛くないんだって、スゲェーな!

大臣もビックリして 「王様、実はお強いのではありませんか?」 なんて言ったのよ、半笑いで。

そうしたら王様のヤツ、後ろでブツブツ何かを言ってるのよ。

「ワシがレベルアップするには35000の経験値が必要じゃ」

強ぇじゃん、王、強ぇじゃん!ってなって(笑) 皆で王様はレベル高いだなんてワッショイしたんだってさ。

そうしたら王、チョーシに乗ったみたいで、 「ワシは王であり勇者でもある!」 なあんて言っちゃったんだ大声で、笑っちゃうだろ?

おもむろに宝物庫からピカピカ光る「ピカリンの玉」とかいうのを持ち出して 「冒険に出るっ!」とか言うからさ、 止めるよね、騎士団長も止めるよね。

「王様、剣を振ったことはあるのですか?」 って言われて王様ムキになっちゃってさ。 振ったのよ、それもブンブン。 これが結構な剣技だったのよ、皆ビックリしちゃってサ。

「この城で一番の剣を持てぇぃ!」
なんてエラソーに言うから槍を渡したって、超テキトー!

「ワシに続けぇぇぃ!」
なんて威勢よく城から飛び出したのだけれど、 王、人望無いからさ。だれもついていかなかったんだよね。 みんな城の中から王様が魔物にギャースされるのを見てたんだけどさ、 逃げまわってるの、魔物が。

王様のレベル高くってさ、 戦ってくんないの、凄くない? なんなら仲間になりたそーになってる魔物なんかもいて、
王スゲぇじゃん、勇者じゃん!
本当に魔王倒せるんじゃね?
って期待しちゃって(笑)
みんな王様についていくことにしたんだ。

勇者の志願者がその後どうなったかだって?

実は大きい声じゃ言えないけどサ、 彼らは「勇者詐欺」という悪事を働く特殊詐欺グループだったんだ。

その後は遠くの地方で「ユウサギ」という名前の街を作ってそこに住んでたんだって。 勇者詐欺でユウサギ。な?安直だろ?

その街に「ソメヤー」という名の旅人が現れて、 アフィリエイなんとかっていうのと、 アドセンなんとかっていうのを教えたんだってさ。 そうしたら皆がブロブだかクログだかってのを始めて、 街全体が儲かったんだって、やるよねぇ。

その中でも特に儲けた…
あれ…名前なんていったっけ…
たしか「イケハヤン」とかって奴だったかな。 街はずれの誰も買わない森を買って、 城を建てちゃったんだってさ、ビックリだね!

そのイケハヤンが城の高いところから遠くを見ていたら、 何かこっちに来てるみたいなの、軍勢が。 ヤベェこれ魔物攻めてきた!って望遠鏡を覗いたら人間でさァ、 それも先頭のおっさんが燃えてたんだって。

何かもぉ、魔物と闘うのメンドイっつってぇー、 森ごと魔物燃やしてしまえってことらしいよ。 炎の魔法だよあの燃え方は、怖ェ~。

これはヤベェ奴が来たなぁと思ったんだけどさ、 よぉく見ると先頭の燃えてるおじさんは、 あのカモの王様だったわけ。

そりゃあもう閉めたね!城門! あ、こんなに速く閉められるんですねってスピードで閉めたね!

これは皆にも伝えなきゃってことで、 「コワーキングスペース」なる集会場で、 作戦を練ったんだって。

…。

作戦を練りましたとさ。

おしまい。

written by 日照ノ秋人 本を読まない奴のフィクション

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