私にはアニメを見る文化が無い。
というくらいアニメを見ていない。
なので「アニメイト」なるショップには一生涯無縁だと思っていたのだが、我が子が欲しがる本がソコにはあるらしいので親子二人で初アニメイト、ということになった。
緊急事態発令中なのに
人の少なそうな朝イチで乗り込もうと画策した我々は、狙いを定めて電車に乗り込み名古屋駅へ向かった。店の場所は調べておいたが、名古屋駅の「なにもない方」のさらに「なにもない方向」へ歩いて行くようなので、それほど人混みにさらされることは無いだろうと踏んでいた。
しかし実際人は多く、信号待ちでは「なにもない方」へ行こうとする集団が形成された。いったいこの集団はどこへむかっているのだろうかと思っていたら、ほぼ全員がアニメイトに吸い込まれていった。すみやかに入店出来ずアルコール消毒の列に並び（みんな偉いね）軽く引く私。
だって開店早々コレですよ？
探すも裸がいっぱい
店内のあれこれが不明なため、結局はローラー作戦で探すことになった我々。あちこち棚を見上げれば、女の子の裸が表紙の本がいっぱい。
これは気まずい。
まわりを見渡せば子供連れの家族も大勢いるが、親御さんはどんなこと考えているのだろうか。無論、描いている側からすれば「子連れで来ることを想定していない」ということなんだろうが、陳列されてしまっているのだから仕方ない。逃げるように移動したらソコは「BL」のコーナーだった。こんなツルんとした男子は羽生結弦しか思い当たらないなぁって思いながら、またしても退避。アニメは嫌いと言うわけでも無いが、なんというかチョット居心地が悪い。音楽に興味が無い女子を楽器屋に連れていった若い頃の私に喝ですよ。
二次創作とはなんだ
必死に探す我々は、凄すぎる人混みに分断され少しの間お互いを見失った。とりあえず店内から勝手に出ないという約束はしていたので勝手に店内捜索をしていると「東方プロジェクト」とかいうコーナーに遭遇した。
私は趣味でボカロP活動をしているが、YouTube素材のイラストを探すときに多くの絵師さんのプロフィールに書かれた「主に東方」というものが全くわからなかった。
「東方」というと、日向小次郎とか沢田タケシとかを連想してしまう私である。
※いずれも東邦、わからないひとごめんなさい。
これのことかぁ…と眺めていてもホントのところよくわからず、「二次創作が盛ん」というフレーズだけが心に残った。もう物語が終わっているのに「鬼滅の刃」のコーナーに人だかりが出来ていたことも、すでに二次創作にトレンドが移行しているということだったのだろう。
ふと、音楽で二次創作ってあるかなと思ってしまった。私は歌詞に関してはなぜかうるさいイヤなオジサンであるが、そんな私が好きな歌詞のひとつに、BUMP OF CHICKENの「車輪の唄」という唄がある。その歌詞の続きとかを二次創作しているひとっているのだろうか。音楽界隈にはいないような気がする。
結局無かった
最後は店員さんの力を借りたわけだが「無い」ということになり、店の外へ出て他の取扱店を検索してみると、これまた近くの本屋がヒットした。
その本屋がまた凄かった。
出版されている本が平積みされている中、堅牢なプラケースみたいなものに入れられた本の表紙のコピーが丁重に本棚に並べられているのだ。これは一体なんなのだと見てみたら、それらはすべて「二次創作」であった。※レジにて現品と引き換えってスタイル
一次創作物よりも丁重な扱いをうけている二次創作物。五木ひろしよりもコロッケの方が楽屋がデカイって感じだろうか。
私の知人にはコミケに必ず行くオジサンがいるのだが、毎度段ボール2~3箱ほどの二次創作物を買い込むという話（数万円落とすとか）を聞いて、軽く引いていた私には世間の価値というものがわからなくなってしまった。有名な「二次創作師」みたいなひともいるのだろうか。なんにせよ「物語の世界観などが好き」が根底にあるような気がする。アニメはあまり見ないが、そんな愛情みたいなものは絶対に有って良いし、皆で共有できることは羨ましいと思った。
音楽の二次創作が無いのは、多くが「ミュージシャンが好き」だからではないか。そんなことを我が子そっちのけで店内を棒立ちで思った私、結局ブツは手に入らず「ういろう」を買って帰った我々である。
最後に、私の中でのアニメと言ったらガンダムである。そんなアニメとアニメイトに向けてこの1曲を贈ろう。聴いてください、「アニメじゃない」。※歌詞は秋元センセ
written by 日照ノ秋人 アニメじゃん
