その日、台風が来ていた。
雨がっぱ、ハンドライト、防寒着をリュックに詰め込み、折りたたみ椅子を持って出発した午前3時。
漆黒の幼稚園に暴風が吹き荒れる中、二日酔いの男が不法侵入したのだ。
みなさん、並んでますか?
日照ノ秋人です。
この季節になると思い出すんですよねぇ、入園準備とか。
保育園には入れなかった
そのとき私が住んでいた地区では、子供を保育園に入園させる条件として 母親が「正社員」であることでした。
つまり、「産休」がガッツリとれている家庭でしかほとんど無理な条件です。
パートだったり産休がとれない派遣社員だったりして、働いていても無理な条件だったのです。
我が家の場合は結婚して仕事を辞め、妊娠後パートを辞めた身であったため、
保育園の入園不可ということになりました。
(相談してもやっぱりだめだった)
後に幼稚園に入園出来ましたが、そこにも満足に「産休」がとれなかったお母さん方が 保育園に入れられなかったと嘆いておられました。
したがって幼稚園に入園させることになる
保育園はいっぱいあったのですが、それ以外には私立の幼稚園がチョコっとある程度でしたので 幼稚園入園を狙うにはかなり競争率が高めであることはわかっていました。 (後でわかったことですが、当時保育園は定員割れで園児不足だったようです)
私立の幼稚園の場合、どうしても
「兄弟枠」や「プレスクールに参加していたか」で
入園が決まるので、我が家みたいな「ひとりっ子」家庭などには相当狭き門になるわけです。
しかもその「プレスクール」の申し込み抽選にも漏れてしまった我が家。
一発逆転の「一般入園」を狙うしかなくなってしまいました。
方法はただひとつ。
「一般入園の申込前日夜更けから並ぶ」
ウキウキ感ゼロ。不安マックス。おまけに台風直撃、そして二日酔いの 父親ワタクシ約一名が登場することになります。
前日に仕事のお客と呑むことになってしまった
やんわりと断っていたのですよ。
「明日、幼稚園の一般入園受付日なので並ぶんスよ~」って。
そうしたら、「景気づけに呑みに行こう」ですよ。
※あまりにも無頓着な奴らだったので、今では根に持った私から逆に「契約解除」を突きつけました。
オトコってヤ~ね。
終電で帰ってきた私と奥方は何時から並ぶかについて緊急会議を行いました。
私が帰宅する前に、幼稚園の前まで車を飛ばして見に行ったようですが、
並んでいる人はひとりもいなかったとのことで、
「台風だからなぁ」と
妙に納得して「3時出発」と決定しました。
その決定が甘かったことにもその時は気づきませんでした。
本記事冒頭の装備で出発
台風ですからね、外に並ぶ可能性を考えキャンプに行くようないでたちです。
それも真夜中ですから、完全に不審者。
幼稚園に到着し、周りを見ると近くに車を止め、幼稚園の様子をうかがっている
親御さんたちがいっぱいいました。
それも若干の距離をとって。
私は奥方の運転する車から降り、幼稚園の門までいき、入園希望の父親かと思われるオッサンに話しかけましたが、 たばこを吸っているだけとのことで並ぶうんぬんを教えてはくれません。(なぜか歯切れが悪かった)
もうこれは、幼稚園に突入するしかないと思った私は、幼稚園の門を開け、勝手に突入したのです。
幼稚園の構造の関係で、外見から明かりがついている部屋があることに気づいていませんでしたが 不法侵入した私は、目ざとく見つけて明かりがある部屋に行きました。
そこには入園希望の親御さん、特に父親であろうオッサン達が野戦病院のように
ごろごろ寝転がっているではありませんか!
※後で知りましたが、勝手に入ってよかったとのことでした
幼稚園の関係者とは思えないおじさんから整理券などを受け取り、(クライフと同じ14番でした、ウフッ) とりあえずひと安心もつかの間、外は暴風雨の幼稚園にそのまま居座り続けることになりました。
結局入園できた
結局その部屋で朝まで過ごし、奥方にクライフの整理券を渡して任務完了。
私の様に「キャンプに行く恰好」のお父さん方もちらほらいてほほえましかったですが、なんとか入園はできました。
外で車から様子を見ていたひとたち、ダメだったかもしれませんね。
その後、ベビーブームかと思うくらい子供が増えた時期があり、
知人から私の子供が入園した幼稚園に、何時から並んだのかと聞かれてこの話をしましたが、
万全を期するために並ぶ翌日は休暇をとって、午前0時から並び、ギリギリ入園できたとのこと。(ちなみに同じ幼稚園)
そのとき我が奥方はPTAをやっていたため、幼稚園の関係者に「いつから並んでいいのか」を
聞いたところ、
「いつからは無いけど、前日の夕方から並んでいる人はいる」とのこと。
そのことを伝えていたので、午前0時から並んだのかもしれませんね。
私が言ったように午前3時ではダメだったかも・・・。
前日の夕方とは、プロですかねぇ・・・。
マトメ
世の中のお父様がた、
本当にお疲れ様です。
これからのお父様がた、
バカバカしいですが男の見せどころですよ。
いつからこういうシステムになったのでしょうか。
子供を成長させるには親元から少しでも離し、同世代の子供たちや保育士さんと ふれあわせた方がいろいろなものを吸収できるのに、保育園、幼稚園事情は子供には やさしくない、親御さんにはもっとやさしくない環境になっています。
そりゃあ、運営する側から見れば、無垢なる子供を無下には扱えず、親御さんとのトラブルも 山のように抱えて運営しているわけですから、難しいのかもしれませんが、 トラブルメーカーでない常識を身に着けた親御さんたちもいっぱいいるわけですよ。
でも、どうしても、世の中の親御さん全員をトラブルメーカーとして扱わなければいけない都合が、 園側にもあるのでしょうね。
私立の幼稚園、大変なんっす。 我が奥方はPTA会長までやりましたから、そのときの夫の狼狽ぶり記事を 予告して終わりますマイン!