15年ほど乗り回した愛車を手放した。
税金が年々上がっていくし、距離もかなり走ったし、 車検はもうすぐだし、タイミングベルトも、 バッテリーもタイヤも交換しなければならないくらい疲弊した車。
前車、レガシィが居眠りトラックに突っ込まれて 九死に一生スペシャルを演じたあの頃から、 もうずいぶん経ってしまった。
私が所有していた車は、すべてスバルの車だった。
水平対向、ボクサーエンジンで低重心の車はコーナリングの安定性に優れるが、
その走りの硬さから長時間のドライブで私を疲れさせた。
もちろん「走り」はとてつもなく楽しい車。
低重心だったからこそトラックに背後からぶつけられ、 前のトラックの下に突き刺さることができたから、 君の命は助かったのだと横山弁護士みたいな首ギプスをとりつけた放心状態の私は警察から聞いた。
その恩義で、インプレッサを購入した。 前車のレガシィは相手の保険会社、 最近デイサービスに社員を配置転換して騒がせたあの保険会社の査定額では ふざけたことに「20万」だったのだが、 それを「45万」の査定に引き上げさせ(45万は妥当な数字) プラス貯金を全額投入して、 なんとかグレードの低いインプレッサをギリギリ手に入れた。
スバルの車のフロントマスクは、前から見ると 航空機の正面姿を表しているというが(目が切れ長なのは翼の末端を表しているそう) そんな発想を忘れたかのような、まん丸目玉のインプレッサが私の人生2台目の車だった。
彼女が出来、プロポーズしたのもこの車の中だった。
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子供が出来、チャイルドシートを取り付けたのもこの車だった。
想いを巡らせれば15年、いろいろあった。いろいろありすぎるといけない。別れがつらくなるからだ。こんなこと考えると「愛着」というものは本当に面倒くさい。
消費税が上がるぞ。
税金も上がるぞ。
整備費もかかるぞ。
なあんて警告にも「勝ろう」とするチカラが、 その「愛着」にあるからだ。
人間にも車にも、来るべき時は来る。
いくら抗ったって「いつか」の終わりはやってくるのだ。 斬るときは、ためらうことなく斬る。
結局次の車を探して、
目星をつけて、
アポイントをとって、
現物を見て、購入を決めた日数はたったの3日。
あまりに素早く動きすぎると「寂しい」という感情はどこかへいってしまう。 反面「これでよかったのだろうか」と思ってしまったのは、 私の気が小さいからだろうか。
現物を見に行ったときに、同じディーラーにおいてあった中古車の 「プレオ(スバル)」も若干見たかったと思ったことは奥方には言えない。
そのディーラーはスバルではなく、愛知県内のスバルディーラーの少なさから
「今回はスバルを考えない」という約束をしていたからだ。
※そのくせ、XV、レヴォーグが良いと言う奥方。
思い立ってから3日で商談成立。
その後、1週間で納車。
最後にインプをパワーモードで転がして、 淡々と新しい車に乗り換えて帰った。
ディーラーから出ていく時、
15年乗ったインプレッサをふりかえることはなかった。
written by 日照ノ秋人
一番寂しそうだったのは我が子でした。