ふにゃふにゃフィロソフィー

真の父親とは、男とは何かを考えるブログです。

自分の本性を知って泣いた

時計は午前二時だった。

何故か号泣していた。
悲しい気分だったし、
謝りたい気分だった。

思考の洪水。

畜生、眠れやしない。

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10年ほど前、我が子がマイコプラズマ肺炎の疑いとドクターに言われ、 急遽入院することになった。 奥方は病院に寝泊りの「つきっきり」になったのだが、 病院ではシャワーを使わせてもらえず、1日1回小一時間ばかり 私がバトンタッチする形で夕暮れの病院に通った。

病院の入口の手前には、さまざまな花が咲いている花壇がある。 そこに制服を着た女子高生がいた。毎日、いた。

ある日、花壇の前を歩いているとその女子高生が話しかけてきた。
「この花の名前、知ってます?」
「さあ・・・」と答えると教えてくれた。

次の日も、その次の日も花の名前を教えてくれた。 日に日に会話が長くなっていったのだが、こちらは 奥方のシャワータイムによるチェンジという使命があったため、 ちょっとだけ迷惑だなぁと思い始めた。

奥方にその話をすると、
「ソレ、気があるんじゃない?」
そんな気は全くしないのだが。
「ちょっとだけでも話に付き合ってあげないと、面倒なことになるかもよ。」
退院するまで私はその女子高生と花壇で少しだけ話をする関係だった。 どうやら何かで通院している子だと途中どこかで聞いた。

もちろん我が子が退院後の彼女は知らない。


夢の中の私はなぜか焦っていた。

いつかのあの花壇の横を速足で歩いている。

するとそこに彼女がいた。 不思議なことに顔が思い出せない。 マンガでもよく見る、目が無くて鼻と口だけがある状態。

「この花の名前、知ってます?」

そういえばそんな女の子いたなぁ… なんて夢の中の私は思い出さない。

いつかのあの花壇も自然に夢の中に存在し、 目覚めてからいつかの花壇だったということに気付いたのだが。

夢の中の彼女は次から次へと花について話しかけてくる。 私はだんだん「迷惑だなぁ」と思えてきた。

すると彼女は私に言った。
「ひょっとして迷惑ですか?」
私は答えた。
「うん、そうだね。」

途端に彼女は大声をあげ、 「私が何の為に花の名前を覚えたと思ってるの!」とか、 「全ッ然話してくれないじゃない!」とか、 泣きながら、わめきながら去っていった。

夢の中の私は胸をなで下ろしていた。
なんだかホッとしていた。

そこで冒頭の午前二時・・・。


夢から醒めたとき私は号泣していた。
夢の中ではあれほどホッとしていたのに、だ。

なにが悲しかったのか。
なにが苦しかったのか。

彼女に罵倒されたのが悲しかったわけでは無い。 「迷惑?」の問いかけに「うん、そうだね。」と 答えてしまっているドライな自分に気づいてしまったからだった。

いつも「ザ・ミスターオンナ好き」とか言っている私が、 オトメゴコロをためらいなく踏みにじっているのだ。 せっかく夢の中なんだから、病院近くの喫茶店で古めかしいチョコバナナサンデーなんか食べて、 港の観覧車でいっしょに夕日を眺めたってよかったわけだ。

しかし、私の本性は違った。全く違った。

そんな自分の根っこに気づいたとき、とてつもなく悲しかった。 明日は休日。楽しみを胸に抱いて寝たつもりだったのに、 午前二時の漆黒の闇の中で、泣きながら彼女に謝りたいと思った。

自分の本性というものがソレなのかはよくわからないが、 そういった「冷たい」所が自分にあるのか。 心の深井戸に沈め、蓋をして出てこないようにしているだけなのか。 偽っている自分を「これが本性」と決めつけてしまっているのか。 そんなことをめまぐるしく考えていた。

ほとんど泣くことが無い冷血な私が号泣するのだから、 冷たい自分が本性なのだろうと思う。 いつもそれが表面化しないように取り繕ってるだけなんだろう。


空が白み始めてきた。

夜中と朝方の中間にさしかかるまで思考の洪水だった。 自分の本性は冷たかったのか。 そんなことを考えていたのに時間が経ったら、 アレは「本性」と言えるのか。 という思考に変わってきた。

ミステイクは誰にだってある。
その都度その瞬間に「私の本性だ」と思ってクヨクヨしても、 自分がミスッただけなのかもしれないのだ。

ただ、「オトメゴコロををないがしろにした私」は夢の中に存在したのだから、 私は大いに反省すべきかもしれない。

沈んで浮かんで。

私がブログを書く理由は、そんな心をフラットにするため。 そんな風に言っておきながら、波立つ自分も好きだったりして。

written by 日照ノ秋人 いつか夢で逢いましょう


いつかここで会いましょう

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