地下鉄を降りると、急いで地上を目指した。
都会のビル風は強くて寒い。
コートの襟を立てた。
夕闇が街に訪れる前に会いたい。
今まで見えない影におびえていたけれど、
きみへの秘め事を隠すのはもう辞めた。
白い息が舞う。
枯れ葉が地面をこする。
風で飛びそうな帽子をおさえた。
クリスマス。
なぜか皆幸せそうだ。
楽しさをひけらかしても良い季節。
あちこちでつながれた手と手は小さな約束。
ひとの心はいつも揺れて
どこかに着地したくなるけれど、
少しは浮かれたっていいんだ。
帽子の影が車道に伸びて赤信号。
待ち合わせは賑やかな大通りの向こう。
迷わないようにと照らしつける暖かな照明。
その光を独り占めするように立つ。
おそらくこれから主役に躍り出る。
今夜・・・言おう。
夜。
暗くなっても賑やかな街。
幾多のヘッドライトが、
きみを照らした。
穏やかな光がふたりを照らす。
3か月分の約束と、
ダイヤモンドのきらめき。
帽子をとって、想いを込めた。
今夜ふたり、光と・・・ハゲ。
written by 日照ノ秋人